最低限のキャンプ装備
どうやらキャンプツーリングは安上がりの旅が出来るということは理解できたが、いったい何を、どれを買い揃えればいいのか?初心者というか未経験者にはまさに未知の話。しかもネットで調べてみても聞き慣れないカタカナ用語ばかりでチンプンカンプン。しかし、これを乗り越えなければ極楽キャンプは訪れません・・・・ビギナーの人はどれが良いのか、どれが悪いのかを見分ける術を持っていません。ところが、自分に合う道具というのは、必ずしも他人が薦めるモノとは限りません。好き嫌いや相性など様々な要因があるからです。しかし、自分好みの道具に出会うには、それなりの体験や経験が必要です。たとえ失敗しても、まずは買い揃えて使ってみて手探りするしかありません。そのことを念頭に道具を揃えてください。
雨風を凌いで安眠するには三種の神器が必要----テント、シュラフ、マット
■テント

いわずもがなコレがなければ基本的には眠れません。(中にはベンチなどで素のまま寝る人がいますがそれは論外)。ところがテントには数多くのメーカーと種類があります。その中で最低限満たしてほしい条件は以下の通りです。

  • 必ずフライを装備したモノを選びましょう。フライ無しは前室無しということなので荷物の処理に困ります。
  • それなりのメーカー品を。DIYセンターなどにある無名の三流品はやめましょう。安くても1万円前後のモノを。
  • 安物は耐久性が低かったり、雨が降ると簡単に浸水したりします。とりあえず寝られればいいという考えは禁物。安眠こそ旅先でもっとも重要な要素なのです
  • インナーの広さが重要。最低でも105cm以上のモノを買いましょう。荷物を置いても寝返りが出来る広さが必要だからです。110cm以上あれば無敵です。
  • 重量とパッキング時のサイズは重要。重量は2~4kgまでにしましょう。5~6kgあるのは重すぎます。また、パッキング時のサイズもバイクに積めるかどうかで判断します。間違ってファミリー用を買うと大変なことになります。
  • テントだけでなく必ずグランドシートも買いましょう。テントの浸水は屋根からではなく床から来るのが大半です。インナーテントの床部の保護はとても重要なのです。
  • ペグ打ち用のゴムハンマーペグ抜きも忘れないように。ゴムハンマーが付属しないテントが大半です。ハンマーは100均で売られるモノで十分です。ペグ抜きは台所用のS字フックで代用できます。これも100均でOK。
※上記のこの色の文字部は、いったい何を言ってるのかわかりません!?
と、思いますので用語説明します。
グランドシート
インナー
テントの床部分を保護するために別にシートを敷きます。コレは専用のモノがベストですが、コンビニなどにあるピクニックシートでも構いません。専用のシートは値段が高いのですが、一般的にコンパクトに収納できます。コレを敷かない場合は、テントの寿命が短くなったり、地面からの湿気がテント内に浸入し易くなったりします。
一般的なツーリングテントは2重構造となっています。内側のテントをインナー、外側に被せるテントをフライといいます。インナーは解りやすいですがフライという名称は覚えにくいですね。写真がインナー部分です。写真でも見て解るように、明らかに弱々しい布で出来ています。布といっても合成繊維ですが、直雨にはまったく抵抗できません。反対に通気性などを重視して、テント内部の結露を防止したり、虫や動物の侵入を阻止します。
フライ
前室
インナーテントの外に覆い被せて使用するビニール地のテントです。厚手の生地で出来ており、防水仕様になっています。通常、ある程度値段が高いほど防水性能が高く、激安品はかなり防止しないようです。雨天にキャンプしなければいいのでしょうが、雨というのは突然夜中に降ったりするものです。フライの性能が良いテントを選ぶと、後悔しないはずです。 インナーとフライの間に出来る空間を前室といいます。裏側にある場合も前室といいます。ココに荷物を置くわけです。といっても地面が露出している分部なので、貴重品やヘルメットなどは置きたくない部分です。あくまでも直雨を避けられるエリアであり、野ざらしに放置しないで済む、というだけです。カラスやキツネは侵入してくるので要注意です。なお、雨天でのキャンプではこのエリアで自炊することになります。
ペグ
ゴムハンマーとS字フック
テントや張り綱を地面に固定するための大きな釘のような代物です。コレがないと強風時にあっけなくテントは離陸してしまいます!面倒がって省略する人がいますが、一度強風にあって痛い目を見るか、人の言うことを聞いて大事を取るか。いずれにしてもテント設営にはなくてはならないパーツです。ペグにも色々種類がありますが、お薦めは鋳物の鉄製ペグです。重いのですがどこでも刺さるという利点があります。 ペグを打ち込むためのハンマーですが、ゴム製のハンマーを薦めます。というのは金属製やプラ製のハンマーは、テントの設営が遅い時刻になると派手な音を出すため、周囲のキャンパーに迷惑になるのです。ゴム製であればほとんど音が出ないということと、それなりに重量があるため、ペグの打ち込みが楽という利点があります。また100円均一でも売っているというのも利点かと。
S字フックは地面に打ち込んだペグを抜くときに使います。専用のペグ抜きもありますが、けっこう高価なので、100均で売られているS字フックを薦めます。なお、ギンギンに硬いのを買ってください。柔らかい金属の場合はすぐに伸びてしまいます。
その他の名称
フレーム
張り綱
インナーテントを自立させるのがフレームです。一般的にはアルミやジュラルミンなどの金属製のパイプやカーボン製のパイプを使用します。収納を考慮して分割式となっており、中空分部にゴム紐が通っており、バラバラにならないように工夫されています。直径10ミリ前後のパイプなので簡単に曲がったり折れたりします。取扱や設営には注意が必要です。別名で骨組と呼ぶこともあります。 設営完了したテントをロープで地面に固定するのが張り綱です。通常4方向に対角で張ります。コレがあるのと無いのとでは雲泥の差です。山岳キャンパーは絶対に省略しません。もしもテントが風で吹き飛んだら生命の危機にさらされるからです。ツーリングでは生き死にには影響しないでしょうが、やはりテントが吹き飛んでしまうのはイヤなはず。面倒がらずに必ず施工しましょう。
張り綱を省略した悲惨な状況がコレ
北海道のキャンプ場で目撃した光景。ペグを打っていないテントで、中に2名の男性が寝ていたにもかかわらず、明け方の強風でテントごと吹き飛んでいる。この2名はあまりの風に入口を開けて脱出することが出来なかった。 左のキャンプ場で同じように強風で崩壊したテント。四隅にペグ打ちはしてあったが、張り綱を施工していない。そのためにフレームが折れ曲がり倒壊してしまった。このフレームは2度と使用することは出来ない。
■シュラフ(寝袋)
封筒型
マミー型
サイズの比較
赤色の小さい方が対応気温0度のマミー型シュラフ。黒の大きい方が対応気温7度の封筒型シュラフ。体積比較でざっと7〜8倍は違う。封筒型の場合はバイクに積載するのは事実上無理。

テント以上に選択が難しいのはシュラフです。シュラフには2つのタイプがあります。長方形をした封筒型と人の形状に近いマミー型です。ツーリングにはマミー型が最も適しています。というのはコンパクトに畳めるからです。しかし、その反面弱点も持っています。大きな弱点としては、中綿が少ないために背中がもろにゴツゴツするのと、閉塞感が強く寝返りがしずらいので、慣れないと寝た気がしないことです。もう一点はツーリング用とうたい、軽量コンパクトなものに限り防寒性がことごとく悪いということです。値段でいうと3,000円から5,000円クラスで、真夏以外は歯が立ちません。中綿も、真綿ではなく羽毛ぐらいの素材でなければ、15度以下の気温になると寒くて眠れなくなります。ところが羽毛製品では3万円前後はします。

気温15度なら盆休みのツーリングなら大丈夫!と考えがちですが、気温は平野部を基準にしてはいけません。ツーリングでのキャンプは山岳部になる場合もあります。標高1000mを越えれば、気温は平野部より10度も下がります。ましてや2001年の冷夏のようになれば、標高500m位でも朝方には10度以下になることもあるのです。これが9月10月の秋ともなれば、安物のマミー型では地獄を見ます。

そこでお薦めするのが化繊タイプのマミー型で、おおむね1万円ちょっとの製品。対応気温が5度前後と表示してあれば、春から秋まで使えます。

どうしても予算的に厳しい人は、毛布を貸し出しているキャンプ場限定で野営し、気温が低くなりそうならあらかじめ毛布を借りて就寝するという手がありますので覚えておきましょう。

アルミ銀マット
ウレタンエアーマット
■マット

マットはシュラフの下に敷いて使用します。よく見かけるのがアルミ銀マットと呼ばれる製品。値段も安く重量も軽いのが利点ですが、実は快適に眠れません。銀マットは本当に必要最低限の役割しか果たさなく、地面への体熱放出や、凸凹地面の緩和にはあまり強い味方ではありません。本当に快眠を求めるなら、ウレタンエアーマットがお薦めです。ウレタンエアーマットのどの部分にアドバンテージがあるのかは別の項で紹介しますが、いずれにしてもマット無しでテント泊するのはかなりきついでしょう。快眠を望むならマットは必需品です。

三種の神器のほかにあれば重宝するモノ
電池式ランタン
電池式蚊取り
■照明

キャンプ場というのは基本的に真っ暗です(キャンプ場によっては屋外照明があります)。特にテントの中は正に真っ暗となります。そのため何をするにも必要なのが照明です。照明にも色々あるのですが、自炊などをするまでもないのであれば、電池式の照明を用意しましょう。キャンプ用でなくても普通の懐中電灯でもゼンゼン構いません。

■蚊取り線香

春と秋だけキャンプするなら必要ないのですが、夏のキャンプで最大の的は雨ではなく、実は蚊なのです。特に湖や沼地が近いキャンプ場では想像を絶する蚊の大群に襲われます。正直蚊取り線香ひとつでは歯が立ちません。筆者の場合は電池式を首から下げ、燃焼式(ごく普通の蚊取り線香)を数カ所設置して防護しています。

以上の装備さえあれば、とりあえずキャンプツーリングは成立します。問題は、キャンプ場で眠るだけでいいのか?ということです。朝起きて周囲のキャンパーを見渡すと、揃いも揃ってコーヒーを沸かしてモーニングを戴いている光景に直面するはず。次のステップはこのような光景を見てから発憤するのかも知れません。しかし、まずはキャンプデビューすることが大事。初めから欲張らずに徐々にスキルを上げていきましょう。