用具&装備選び
最低限のキャンプ装備の頁でも、必要な装備については書きましたが、テントとシュラフがあれば、とりあえず野営はできます。実は、キャンプ場でよく見かけるのがこの「最低限の装備」しか持たない旅人。意外と多いのに驚きます。キャンプも旅の楽しみの一つと考えている筆者には残念に見えるのですが。まぁ、旅のスタイルは人それぞれなので細かいことは言うまいですが。
で、キャンプの究極の目的はやはり安眠できること。日中の疲れを一晩で解消しなければ、明日の旅に支障を来します。よく眠れるための装備選びをしなければなりません。ここではもっと突っ込んで用具や装備について考えてみたいと思います。ただし、あくまでもビギナー向けであることは重々ご承知下さい。
テント選びの基準
最低限のキャンプ装備でもふれていますが、テントを選ぶ際の決め手は価格に見合った機能性です。安物はそれなりでしょうし、高いものはすべてイイかといえばさにあらず。では、具体的にどの程度の条件を満たしていれば失敗しないのでしょうか。

テントには幾つかの種類がありますが、ビギナーはツーリング専用設計のモノが望ましい。メーカーも多くあり選択に迷いますが、特に注意する点は次の通りです。
 
○前室が必ずあること
○室内が広いこと(幅110cm×200cm以上が望ましい)

前室は荷物置き場です。これがないタイプは夜間の荷物置き場に困ります。室内に置く場合、内寸が110cm以下だと窮屈で寝られたモノではありません。人間はシュラフの中でも寝返りを打ちます。寝返りできる空間の確保が大事なのです。また、貴重品などはテント内に置きたいため前室と広い室内が必要となります。

○インナーテントに2カ所以上のメッシュの壁があること

換気用のメッシュが必要なのは、寝ている間に人間の身体から発する水蒸気の逃げ場確保のためです。特に夏場は湿度が高くなるため、換気が悪いと蒸し暑く眠れたものではありません。また、夜間気温が下がる季節になると、換気の悪いテントは、朝になるとインナーテントの内壁が結露でびしょ濡れになります。車中泊の経験がある人ならおわかりかと思います。一晩クルマで眠るとガラスの内側が結露でびしょ濡れになります。これがテントでも起こるわけです。コレを解決するのが換気用のメッシュ窓。大きければ大きいほど効果があります。優れた製品では、出入口にメッシュを合わせて縫製してあり、必要に応じて開閉することで、効率の良い換気や室温調整ができます。

○できれば出入り口は2カ所ほしい

出入り口が2カ所欲しいのは、実際に出入りするためというよりは、テント内の温度調節のためです。まれに連泊などする場合があるかもしれません。その際、天気がよいと出入り口2カ所をフルオープンにしないと中には居られません。テントはビニールハウスと同じようなモノです。両サイドを開放できれば、ディキャンプなどを快適に過ごせるのです。特に女性の場合は、連泊でテント内に洗濯した下着などを干したい場合などは効果てきめんです。また、テントの幅が120cm以上ある2名用のテントの場合、両サイドに出入口がないと、相方を跨がなければ出入りができません。これは、かなりやりたくない行為です。

○防水加工のレベル

フライシートを防水加工していないテントは皆無でしょうが、インナーテントの床部分の防水処理をきっちり行っているかどうかは、安物の場合疑問です。安物の場合、この部分の生地がブルーシートのようなもので作られているものを見かけます。生地そのものが粗いのでいくら防水処理しても効果は期待できません。通常、テントの浸水は屋根よりも床から来ます。床部の防水性能はかなり大事な要素です。(写真の赤枠の部分が防水上重要な部分です)

○重量とパッキングサイズ

高価なテントというのは、コンパクトにパッキングができて、かなり軽量でしかも丈夫な部材でできています。たとえばテントの幕体はゴアテックス製の透湿防水シート。フレームは軽量で丈夫なアルミやジュラルミンを使うなど、総重量が2kgを下回るという製品もあります。ところがこれは登山用のテントでして、ツーリングに使用するにはオーバースペックです。ツーリングではバイクに積載することのできるサイズであれば、重量は4kg前後あっても構いません。それよりも、機能性を重視した方がいいのです。

シュラフ(寝袋)の選択
シュラフにも多くのメーカーと種類があります。多くの人が価格で選んでしまいがちですが、実はテント以上に予算を取って貰いたいのです。野営では、安眠できて疲れが取れるかどうかはシュラフに

○適正温度をどう見るか

写真のシュラフは-5℃と記載されているが、スウェットの上下では、気温2度でまったく眠れませんでした。毛布を掛けるか、防寒着着用でなければなりません。つまり、この表記は限界温度なのです。
北海道や東北では真夏でも気温が一桁台まで下がることがあります。シュラフの表示温度にプラス10度が使用限界と考えて購入時の参考にしてください。-10℃〜5℃という表示のシュラフは、実用では0℃〜ということです。-10℃というのは特別な服装や装備をした場合に耐えうるギリギリの温度という意味です。メーカーではこのように、対応する気温の表示を行っていますが、なかには「気象条件、使用条件、体調によりこの限りではない」という内容の断り書きを入れているところもあります。

筆者はモンベル派なのですが、モンベルのシュラフには快適使用温度と限界温度の2つの表記がなされています。このような表記でない場合は、限界温度と思ってください。

赤く小さい方がダウンシュラフ。青の大きい方が化繊シュラフ。バイクに積載すると見た目以上に大きな差が出てくる。だが、価格が・・・・
○材質はどっちが良いのか

どっちの材質?というのは、中綿の種類のことで、化繊かダウンかという意味です。単純に保温力を比較すると、圧倒的にダウンが有利ですが、圧倒的に価格も高い。またダウンの有利性はパッキングサイズにも表れます。対応温度が同じである場合、保温力が高いダウンの方が体積比率で1/2〜1/3程度の差があります。積載の能力が低いバイクの場合はダウンがお薦めですが、ネックはやはり価格。安めのものでも2万円以上になります。反面、化繊の場合は、価格が1万円程度で快適温度0℃のものが手に入ります。やはりサイズは相応に大きくなります。

○寝心地度

筆者、決してモンベル社の回し者ではありませんが、モンベル社のシュラフには高い評価をしています。先頃、シュラフの機能比較のためにイスカ社のシュラフを購入してみたところ、その機能の差に愕然。まったく寝心地度が違いました。寝心地度というのは勝手な判断基準なので、万人向けの評価にはならないでしょうが、どこがどのように異なるのか、まったく個人的な意見としてお読みいただければと思います。

1.余分な空気の層ができない

左の赤いシュラフがモンベル社製、右の青いシュラフがイスカ社製。モンベルのシュラフは独特な外観をしており、10cm刻みでゴムが縫い込まれています。他のメーカーにはこの様な仕様は見あたりません。実はこのゴムがキモで、身体に負担がかからない程度の伸縮力があり、シュラフに人が入ると、身体の形状に沿ってシュラフが密着します。ゴムが無い方は赤丸で囲ったように、身体に密着しない部分ができて余ってしまいます。この余った部分は空気の層ができてしまい、保温力が低下するのです。

シュラフというのは、自分の体温で自分の身体を保温するものなので、余分な空間ができてしまうと、その部分の空気を暖めるために体熱が消費されてしまいます。

人が入るとゴムが身体に密着して無駄な空間を作らない
赤丸部分が余った空間。この分体熱が奪われる
2.寝相が悪い人に最適

シュラフというのは、言わずと知れた布製の筒です。この狭い空間に身体を入れて寝るわけですから、布団のようなわけにはいきません。寝返りを打つときも、シュラフごとになるので非常に窮屈。ここで、モンベルのゴムがまたイイ働きをします。人間は寝ていても常に身体を動かしています。一定の向きで寝続けると鬱血してしまうからです。モンベルのシュラフは人が入っていないと足の方が細く見えますが、実はかなり幅があるのです。細く見えるのはゴムがそれだけ効いているからでしょう。シュラフに入って横向きに寝返りし、左足はそのままで、右膝を曲げて寝てみます。するとゴムが伸びて無理なくその姿勢で寝られます。ゴムが無い方は、この姿勢をするとシュラフの幅を超えてしまい右膝を曲げきれません。つまり、つっかえた感じとなります。寝返りに制約が強いと、その度に覚醒してしまい、深く眠ることができません。

右膝を曲げて寝た場合でも、
ゴムが伸びて無理なく希望の姿勢が取れる。
シュラフは伸びないため、右膝が曲がりきれず、
つっかえた感じとなる。
生地のしわの張り方を比較してみてください。
実は上記の機能は、モンベル社の持つ国際特許なのであります。なので、他社では同じ構造のシュラフを作ることができないわけ。この違いは実際に使った人のみぞ知ると言うほど!初めてシュラフを買うという人は、騙されたと思ってモンベルを買ってみてくだされ!(責任は取りませんが)
ちなみにモンベル社のパンフレットにはこのように説明されています
(画像クリックで拡大します/なおモンベル社は日本の会社です)

マットの選択
テントとシュラフがあっても、マットがなければ快眠できません。先の頁でも書いたように、マットは三種の神器のひとつです。必ず用意してください。最もポピュラーなのが銀マットと呼ばれるもの。1,000円前後で売られているので購入には問題ないでしょう。少し予算がある人はウレタンエアーマットという優れものがあります。端部のバルブを開けると内部ウレタンの自己復元力でエアーを吸い込むという機能で、数cmの空気の層ができるため、銀マットと比較すると、次元の違う快眠が得られます。価格的には5,000円以上となります。1,000円で寝苦しいか、5,000円で快眠か、費用対効果で各自が判断してください。なお、一度ウレタンエアーマットで寝ると、もう2度と銀マットでは眠れません。そのくらいの絶大な差があるのです。 写真はコールマン社製のエアーインフレーターマットという製品。小さく折りたためて、サイズは寝袋の半分ほど。
厚さ2cmほどのエアーマットとなる。あると無いとでは雲泥の差
端部のバルブから空気を吹き込む。大きく10回ほどでパンパンになる。
照明の選択
ガス式は柔らかな明かりで、キャンプの雰囲気抜群ですが、ホヤが割れやすかったり、燃焼部のマントルの取扱が面倒などといった、手間がかかります。慣れない人にはけっこう敷居が高いので、まずはキャンプそのものに慣れてから、次のステップで挑戦されたい。
照明は、明るいうちにテントを設営してすぐに寝るという人なら不要でしょうが、一般的にはあるに越したことがない装備です。キャンプで使う照明は、ランタンと呼ばれるものを使うのが一般的。ランタンにはガス式、燃焼式、電池式などがありますが、初めは電池式などの安物か、通常の懐中電灯でイイと思います。慣れてきたらキャンプの雰囲気を楽しむ意味でガス式ランタンを揃えればいいでしょう。

筆者の場合は、テント内および歩行用に電池式を使用し、炊事用にガス式を使っています。自炊をしない人であれば、電池式1本あれば十分です。